耳の穴のことを外耳道といいます。成人で約3cmの長さで、直径が約1cmほどです。

外耳道の突き当りは鼓膜になります。

耳鏡という器具を用いて、耳の中を実際にみることで診断します。外耳道に赤みや腫れがあり、耳だれが出ていることもあります。腫れが強くなると、聞こえが悪くなったり、耳の周りにまで痛みが広がったり、熱が出たりすることもあります。

患者さんの中には、頻繁な耳そうじが原因で外耳炎になっている方がいます。

頻繁な耳そうじ→外耳道の炎症→かゆみが発生→再び耳そうじ→更なる外耳道の炎症…と悪い循環に陥っていることがよくあります。

そのような時は、耳そうじをやめないと外耳炎は治りません。

外耳道炎は、まずは耳だれなどを取り除き外耳道をきれいにし、炎症を抑える軟膏を塗る局所処置で治療します。

耳だれから細菌培養検査に出して、どのような菌が悪さをしているか確認することもあります。

また抗菌薬や炎症をおさえる点耳薬(耳にいれる液体のお薬です)を使ったり、炎症の強い方は内服の抗菌薬を併用したりすることもあります。

外耳炎は一度生じると、くせになりやすく、長引くことがしばしあります。自己判断せずに、かゆみがあるときは早めに耳鼻咽喉科に相談することをおすすめします。

耳垢とは、はがれた耳の穴(外耳道)の表皮に、分泌腺である耳垢腺と皮脂腺の分泌物などが混ざったものです。

そもそも耳の穴は、入口側の柔らかい部分(軟骨部外耳道といいます)と、奥の硬い部分(骨部外耳道といいます)に分けられます。

入口側の柔らかい部分は皮下組織が厚く、耳毛や皮脂腺、耳垢腺などが存在し耳垢ができますが、奥の硬い部分にはそれらはなく、耳垢はほぼたまりません。

通常では耳の穴から自然に排泄される耳垢が、外耳道に停滞して外耳道が閉塞してしまった状態のことを耳垢栓塞といい、耳がつまった感じがしたり、耳鳴りや聞こえが悪い感じがしたりします。

耳そうじの最中に、耳垢を自分で奥に押し込み、結果として耳の穴が耳垢で閉塞することもしばしばあります。

耳鏡という器具を用いて耳の中をみることで診断します。

治療は、耳垢をとる鉗子やピンセットなどで取り除いたり、細い掃除機のような吸引する器具で吸い取ったりもします。耳垢が硬くて簡単に除去できないときは、耳垢を柔らかくする点耳薬(耳にいれる液体のお薬です)を処方します。数日間ご自宅で使用して、硬い耳垢をふやかした状態にしてから除去することもあります。

なお、日本人の約20~30%は湿った耳垢ですが、欧米人は約80%程度、耳垢が湿っているといわれています。

耳垢栓塞は湿った耳垢や、耳の小さい子ども、耳垢を排出する力が弱くなった高齢者に多く見られるとされています。

耳垢が、少し溜まっていても鼓膜がよく観察できる状態であれば特に問題はありません。

耳垢がある程度たまると、中耳炎などの病気の有無を判断できなくなったり、聞こえに影響が出てきたりするために除去する必要があります。

耳垢を取り除くのは意外にむずかしいものです。

ご自身や保護者の方々で耳垢を取り除くことが難しい場合や、耳閉塞感など気になる症状がある際には、お気軽に受診してください。

おもに鼻風邪など上気道炎に引き続き起こる、細菌性またはウイルス性の中耳の炎症性疾患のことです。

急に耳が痛くなったり、発熱や難聴の症状が見られたりします。

乳児では不機嫌になったり、夜泣き、原因不明の熱、耳をいじったりする症状が見られます。

症状が悪化すると、鼓膜が破れて耳だれが出てくることもあります。

診断は、実際に耳の中を観察して、鼓膜の赤みや腫れ具合などを見て診断します。鼓膜の動きを調べる検査や聴力の検査をして診断の材料にすることもあります。

熱の高い方、内服での治療で治りが悪い方などは鼓膜を一部分切開して、たまった膿をだす鼓膜切開術をする場合があります。

中耳炎治療の要点として、鼻の出口の上咽頭と呼ばれる部位と耳をつないでいる耳管とよばれる管の通気や働きを改善させることが重要です。そのため中耳炎は、耳だけではなく、鼻やのどを一緒に治療していくことがとても重要になります。鼻水が多いとき、鼻の粘膜が腫れて鼻の通りが悪いときはそれらも併せて加療することが重要です。

多くは、繰り返す急性中耳炎が原因となって鼓膜に穴が残った状態をいいます。痛みや熱などは、ほぼないのですが、耳だれがでたり、聞こえが悪くなったりします。

耳だれは一旦停止しても、かぜのように鼻やのどに炎症をおこしたときや、入浴や水泳の際に中耳に水が入ったりすると、再び起こることもあります。

持続的な難聴や、反復する耳だれなどで慢性中耳炎を疑うことができます。耳鏡という鼓膜をみる器具で、鼓膜の穴や耳だれをみて診断します。中耳のCTの撮影が必要なこともあります。

耳だれに関しては、顕微鏡で見ながら耳だれを洗って除去しきれいにする耳の処置と、急性中耳炎と同じように抗菌薬(内服、点耳)や炎症を抑える薬を併用することもあります。

患者さんの耳の状態や原因菌の種類によっては耳だれが長く続くこともあり、通院を必要とすることもあります。

鼓膜の穴は、手術でふさぐことで聞こえが改善し、耳だれに悩まなくていい状態に出来ることがあります。

手術をご希望される方は、対応可能な施を紹介いたしますのでお気軽にご相談ください。

また以前、中耳炎の手術をされた方で、手術後、どうしても構造的に耳垢がたまりやすくなっていることがあります。

たまった耳垢をそのままにすると感染し、耳だれがでる原因になることがあります。そのような方は、時々耳鼻咽喉科で耳の状態を診察し、耳の掃除をしたり、薬をぬったりすることで、結果として長い期間、いい状態を保てることがあります。気になる方はお気軽にご相談ください。

中耳腔に炎症がおこり、液体(滲出液)がたまる病気です。

中耳に液体がたまると、鼓膜が振動できないため、音を内耳に伝えられずに、聞こえが悪くなったり(伝音難聴といいます)耳がつまった感じになります。

通常、痛みや熱もないのも大きな特徴です。

鼻の奥(正確には上咽頭といいます)と中耳をつなぐ、耳管と呼ばれるくだの機能が低下していると、中耳への空気の入りが悪くなり、中耳内が陰圧となった結果、液体が溜まると考えられています。

急性中耳炎の治る過程で滲出性中耳炎に移行することがあります。副鼻腔炎(蓄膿症)や各種鼻炎など鼻の状態が悪い方、アデノイド(鼻の奥の上咽頭にあるリンパ組織です)が大きいとなりやすいです。

耳の中を見ると、中耳に液体がたまって鼓膜が濁って見えたり、たまった液体の中に空気の泡が見えたりするなどの鼓膜の異常でほぼ分かります。

鼓膜の動きを調べる検査や、聴力の検査なども併用して診断することもあります。

治療の要点として、鼻の奥の上咽頭と呼ばれる部位と耳をつないでいる耳管とよばれる管の通気や働きを改善させることが重要です。そのため滲出性中耳炎は、耳だけではなく鼻やのどを一緒に治療していくことが重要になります。

中耳に溜まった滲出液を出しやすくする薬を飲んだり、抗菌薬を飲んだりすることもあります。

この時の抗菌薬はどちらかというと菌を殺すというより、炎症を抑えたり、気道上皮に作用して粘液の分泌を抑えたり、線毛運動を活発にさせたりする作用のある抗菌薬を使います。

鼻から耳に空気を送る処置をすることもあります。

これらの治療で改善しないときは、鼓膜を少し切って、中の液体を出すこともあります。

また反復する方はチューブといわれる小さな筒のような器具を鼓膜に入れることで、中耳に空気が入るようにすることもあります。

当院ではCO2レーザーを準備し、鼓膜切開の切開創が、通常の切開に比べて長めに開存することで、より確実に中耳炎を改善させるとする設備を準備しています。

急に片側の耳の聞こえが悪くなる病気です。

詳細原因は不明ながら、血流、ウイルス感染、ストレスなどが関与し内耳の障害をきたし発症するとされています。通常、中耳や外耳は正常(見た目上の異常はない)です。

聴力検査をして、聴力を調べたりや左右差をみたりして診断します。

発症初期にめまいを伴うこともあります。

神経を元気づけるビタミン剤や、血流を良くするお薬、ステロイドという炎症をおさえる薬で治療することが多いです。

突発性難聴のように急に生じた神経のレベルでの難聴(急性感音難聴と言います)は、速やかに治療を開始した方が、治りが良いとされています。急に聞こえが悪くなった時や、急に耳鳴りがして持続する時は、早めに耳鼻咽喉科を受診することを強くおすすめいたします。

また突発性難聴でも高度に聞こえが悪い方や、通常の外来治療で治りが悪い方などは、より高度な治療が出来る病院に紹介することもあります。

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