耳垢栓塞(耳あか)

耳垢とは、はがれた耳の穴(外耳道)の表皮に、分泌腺である耳垢腺と皮脂腺の分泌物などが混ざったものです。

そもそも耳の穴は、入口側の柔らかい部分(軟骨部外耳道といいます)と、奥の硬い部分(骨部外耳道といいます)に分けられます。

入口側の柔らかい部分は皮下組織が厚く、耳毛や皮脂腺、耳垢腺などが存在し耳垢ができますが、奥の硬い部分にはそれらはなく、耳垢はほぼたまりません。

通常では耳の穴から自然に排泄される耳垢が、外耳道に停滞して外耳道が閉塞してしまった状態のことを耳垢栓塞といい、耳がつまった感じがしたり、耳鳴りや聞こえが悪い感じがしたりします。

耳そうじの最中に、耳垢を自分で奥に押し込み、結果として耳の穴が耳垢で閉塞することもしばしばあります。

耳鏡という器具を用いて耳の中をみることで診断します。

治療は、耳垢をとる鉗子やピンセットなどで取り除いたり、細い掃除機のような吸引する器具で吸い取ったりもします。耳垢が硬くて簡単に除去できないときは、耳垢を柔らかくする点耳薬(耳にいれる液体のお薬です)を処方します。数日間ご自宅で使用して、硬い耳垢をふやかした状態にしてから除去することもあります。

なお、日本人の約20~30%は湿った耳垢ですが、欧米人は約80%程度、耳垢が湿っているといわれています。

耳垢栓塞は湿った耳垢や、耳の小さい子ども、耳垢を排出する力が弱くなった高齢者に多く見られるとされています。

耳垢が、少し溜まっていても鼓膜がよく観察できる状態であれば特に問題はありません。

耳垢がある程度たまると、中耳炎などの病気の有無を判断できなくなったり、聞こえに影響が出てきたりするために除去する必要があります。

耳垢を取り除くのは意外にむずかしいものです。

ご自身や保護者の方々で耳垢を取り除くことが難しい場合や、耳閉塞感など気になる症状がある際には、お気軽に受診してください。

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